悲劇は繰り返された?!

U-22日本代表、敗戦を招いた統一なき意識

ISM

 終盤の2失点でカタールに逆転負けを喫した日本だが、敗戦の要因はどこにあったのか。

 後半立ち上がり、リズムをつかみながら追加点が奪えずに、65分過ぎあたりから運動量が落ちたのはひとつあるだろう。40度に迫った9月のサウジアラビア戦(ダンマン)に比べればしのぎやすい気候だったとはいえ、やはり30度を超える暑さは堪えたのだろう。

 だが、運動量が落ちたのはカタールも同様のこと。それが大きな問題ではないだろう。

 反町康治監督は1点リードで折り返した前半について、「プランどおりに進んでいた。大きなテコ入れをする必要はなかった」としているが、後半の戦い方はどうだったか。

 「終盤は、何とか失点を防いで引き分け以上で終われればと思っていた。1対1に追い付かれたときは、そのまま引き分けでもいいと」。キャプテンの水本裕貴(千葉)は後半の戦い方をこう振り返った。ディフェンスリーダーとしての考えもあってか、アウェイの苦しい状況下、追加点よりも無失点という頭だったのだろう。

 一方で後半から水野晃樹(千葉)に代わって右MFに入った家長昭博(G大阪)は、「(同点とされたあとも)僕自身はもう1点取れると思っていたし、自分で取ってやろうという気持ちもあった。ただチーム全体として、どういう考えだったかは見えない部分もあった。状況を考えれば1対1でもよかったわけだし、もっとチーム内でコミュニケーションを取って、どうすべきか考えてやれればよかった」とし、加えて攻撃を考えるあまり、ポジションを崩してまで攻めに行ったことで「守備の際に戻り切れずに、相手のサイドバックを空けてしまったのは反省しなければならない。もっと我慢して右サイドに張っていることも必要だったと思うし、左に出たりすることでバランスを崩してしまったのかもしれない」と口にした。

 守備のリーダーと、攻撃のカギを握るキーマンに見られる意識のズレ。86分には、柏木陽介(広島)に代えて上田康太(磐田)という3人目の交代が行なわれたが、攻めるのか、守るのか、ベンチの意図も明確には伝わってこなかった。

 同点に追い付き、なおも勝ち越し弾をねらうべく攻撃を仕掛けるという姿勢を最後まで一貫していたカタールに対し、日本からは統一した意識が完全に消えていた。

 終盤に垣間見えたチーム戦術のチグハグさ。偶然のPKによる失点も、敗戦は必然だったのかもしれない。

2007年10月18日 19時56分 ISM