オシム監督、ゴール決まらない“悪癖”に激怒「確実に決めろ!」

 サッカー日本代表候補合宿(18日、千葉県内)日本代表のイビチャ・オシム監督(65)が18日、アジア相手の“苦戦グセ”を解消する100%ゴール指令を発した。約2時間の大半を攻撃側が圧倒的に有利な数的優位での攻撃練習に費やしたが、あまりにゴールが決まらないことに「それじゃあ10回に1回しか入らない」などと激怒。辛勝を許さぬ姿勢を見せ、アジア杯3連覇への具体的な動きを開始した。

 止んだ雨がしぶきになるほど、強く芝を蹴り上げて怒りを表した。

 「それじゃあ10回に1回しか(ゴールは)入らない。実際の試合でこんなチャンスは10回もない。最後は決めろ!!」。ピッチ上のオシム監督が不満をぶちまけた。

 この日は攻撃が守備に対し数的優位、同数の状況での攻撃練習を繰り返した。「2人Vs1人」「5人Vs3人」「6人Vs6人」の3パターンを1時間半。これまでも似た内容はあったが時間の大半を使うのは異例。ところがゴールはほとんど決まらず、怒りの矛先が攻撃陣に向けられた。

 再三、直接指導を受けたMF中村憲は「数的優位でどう確実に決めるか。2対1なんだから崩せなきゃおかしいと。いろいろアイデアを言ってましたね」と監督の意図を説明する。1試合で1、2度あるかないかの圧倒的に有利な状況で、100%ゴールできなければ、どんな相手にも苦戦するというわけだ。

 昨年9月のアジア杯予選・イエメン戦など、日本にはアジアの格下相手に苦戦する“悪いクセ”がある。守備を固めてきた相手をせっかく崩しても、絶好機を外し続ける例のパターンだ。3連覇を目指す7月のアジア杯、来年の南アW杯予選へ、“悪癖解消”は、重要命題といえる。

 そのための具体的指導も敢行した。サイドの選手が中に入ると見せかけて外に走り裏を突く「フェイクラン」。早いパス回しで相手DFにボールを触らせない「コンタクト回避」。引き寄せた相手DFを置き去りにするための「ニア・クロス禁止」などなど。いかに相手DFを欺くことが大事かを大声で訴え続けた。

 「1回しかないところをモノにしろということ」とMF田中隼。「悪い内容の時もどのように勝つか。それこそが芸術」。11日の再来日時に、『結果追求』を強く示したオシム監督。ミーティングをいまだ行わず選手の自主性を求める中、ピッチでは『結果』をもたらす“芸術”を着実に伝えようとしている。

2007年2月19日 03時29分 サンスポ