試合後のコメントや今後については同志に任せます

平山本紙単独インタビュー(代表編) (日刊スポーツ)
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 平山は世界のクラブのペナントが並ぶFC東京社長室でインタビューに答える

 Jリーグ発、北京経由の南アフリカ行き−。オランダリーグ1部のヘラクレスを退団して東京に加入したFW平山相太(21)が5日、帰国から約1カ月たった現在の心境を語った。08年北京五輪を目指すU−21(21歳以下)日本代表と、10年W杯南アフリカ大会での活躍を期待する声が高まる中、190センチの日本屈指の大型ストライカーは何を思い、目標としているのか。6日から「代表編」と「Jリーグ編」の2回にわたり、平山自身の言葉をお伝えする。
 オランダでは、言葉や食事など異なる文化になじめず、苦労しました。日本に戻ってからは、サッカーに集中できる環境が整っているし、Jクラブに移籍したことで代表にも呼ばれやすい状況になった。欧州に未練がないといえばウソになるけど、もう1度、日本で原点に返って頑張ろうという気持ちでいっぱいです。

 今は「代表」というと、まず北京五輪を考えています。だってアテネの時の借りを返したいですからね。アジア最終予選では6試合中、4戦で先発して無得点。あんなに点が取れなかったのは初めての経験でした。五輪本大会では初戦のパラグアイ戦で16分間、途中出場しただけ。

 当時は飛び級招集で周りは年上ばかりでしたが、北京では僕が引っ張らないといけない。今のメンバーでは、僕が一番いろんなことを経験していますからね。チームの中心として予選を突破して、本大会では点を取りたい。またアテネではできなかった決勝トーナメントにも進出したいと思ってます。

 そのためにも、今の環境で自分を磨いていかないといけない。9月にU−21代表の合宿に初めて参加しましたが、神戸との練習試合で60分間プレーして得点を奪えず、いいアピールができなかった。

 サッカーの違いも感じました。オランダでは前線とDFラインが間延びすることが多く、攻撃時に僕が抜け出るスペースも広かった。でも、日本はとてもコンパクト。ボールを受ける場所やタイミングが難しい。僕は1人で相手をぶっち切るより、周りに生かされるタイプの選手。自分自身の技術や体力アップを図るとともに、クラブや代表チームの目指すスタイルや戦術をしっかり勉強していかなければ。

 A代表には、もちろん選ばれたいですよ。世界的には僕より若い選手が活躍しているし、僕の年齢で入るのも早くはないとは思う。でも、僕は僕です。1度、A代表に呼ばれたら、ずっと定着できるように準備をしてから臨みます。代表に呼ばれたり呼ばれなかったりでは、本当の代表とはいえない。反町監督がA代表のコーチを兼任しているし、両方の代表には一貫性がある。五輪で活躍すれば、上が見えてくる。北京経由の南アフリカ行きです。だから、ほかの若い世代からA代表に入る選手がいるからといって、焦りはない。W杯に出られればいいので。4年間かけて、自分を徹底的に鍛えたい。

 もう1度、チャンスがあれば海外でプレーしてみたいという思いもあります。スペインリーグには興味があるし、やっぱり世界中から能力の高い選手が集まるRマドリードは魅力的ですね。でも、そういうことはW杯が終わってからでいいと思う。今の大きな目標は北京五輪。それにはまず、Jリーグで自分が取り組むべき課題と役割をしっかりと見極めて、努力することが大事なのです。(続く)【取材・構成=盧載鎭、山下健二郎




[ 2006年10月6日9時40分 ]


平山本紙単独インタビュー(Jリーグ編) (日刊スポーツ)
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 大雨で水浸しとなったピッチでしぶきを上げながらダイビングヘッドを放つ平山

 Jの門をたたいた東京FW平山相太(21)が、日本での成功のため、周囲との融合を課題に挙げた。「代表編」では08年北京五輪、10年W杯南アフリカ大会に向けての夢を語ったが「Jリーグ編」では、より現実的な視点で、自分が置かれている立場を直視した。前日に続き、本人の言葉で、その胸の内をお伝えします。
 (少し笑いながら)僕はJリーグ向きではないかもしれません。1試合を戦ってみて、Jはイメージどおりでした。組織がしっかりしていて、お互いが数的優位な状況をつくろうとする。サッカーでメシを食っていくのは甘くないと思ってました。組織的なプレーをするのは、オランダではなかったことです。組織の一員になることは難しいですが、やらないとメシが食えなくなる。

 今は監督から、攻撃に専念することを言われていますが、最終的には守備でも貢献しないといけない。どこの国でも、FWが守備を要求される中で得点を取る。そうしないと残っていけないと思います。守備をしない選手は、監督も使いづらいでしょう。

 日本の選手はあまり高くないので、空中戦で勝てる部分はある。ロングボールも多いし。オランダではみんな背が高いので、いつも勝てるわけではなかった。足元にパスをもらってました。両方しっかりやれれば、相手もやりにくいと思う。1つの攻撃だけでは何回も崩せないですから。オランダでは真ん中で1人でやってました。今はそのクセが染み付いていると思います。Jでは幅広いプレーを身に付けたい。両方できなければ、もし1つのプレーがダメなときに、どうしようもなくなるのは怖いですから。

 僕はヘディングが得意ですけれど、なるべくなら中沢さん(横浜)や闘莉王さん(浦和)との勝負は避けたいですね。彼らは守備で出てくるときに勢いがある。2人に空中戦で勝ちたいと言えば格好いいかもしれませんけど、FWは攻めるポイントを自分で変えられる。戦術として、わざわざ厳しく強い相手のところに行く必要はないと思うからです。

 ケガには常に気を使っています。今まで大きいケガはないですね。オランダとかはボールを持った際の当たりが強いし、アフター(ボールをさばいた後)とかで来る部分も頭に入れながらやっていた。高校の時に、代表とかに行き始めてから、そういう部分を意識するようになりましたね。しっかり相手のことを見ていないと。身構えているときに比べて(アフターは)ダメージが大きいですから。

 実は僕、足技もうまいんですよ(ニヤリと笑いながら)。サッカーを始めたのは小2からで、FWとトップ下をやっていました。トップ下の方が楽しかった。前を向いてボールを持てるし、FWより楽でしたね。パサーでした。スルーパスとか狙ってましたよ。中学ではパスとドリブル練習ばかりだったので、足技はその時に鍛えられたと思います。

 名古屋戦(7日)はヘディングばかりではなく、足でも狙うようにします。形はどうでもいいんですよ。僕が入って負け続けると、まずいでしょう。チームのため、僕のため、組織の中で組織の一員として、しっかり結果を残すことが一番だと思っています。(終)【取材・構成=盧載鎭、山下健二郎




[ 2006年10月7日9時55分 ]