伊野波の怪我?

伊野波、右肩亜脱臼

MF伊野波は練習中に右肩を痛める(撮影・鹿野芳博) <アジア杯予選>

 日本代表MF伊野波雅彦(21=東京)が1日、ジッダ市内で行われた練習で右肩を亜脱臼した。3対3の練習中にFW巻と接触。すぐに練習を外れてピッチ上であおむけになり、チームドクターの診察を受けた。大事には至らなかったが、そのあとの練習はキャンセル。伊野波は「軽くいっちゃいましたね。監督に何か言われた? いろいろ」と歯切れは悪かった。一夜明けた2日も病院へ行くことなく、今後もチームに帯同する見通しだ。

[2006年9月3日8時8分 紙面から]


オシム監督が怒った!
実戦練習でミス連発 


ハードな練習を見詰めるオシム監督=ジッダで(共同)
 【ジッダ(サウジアラビア)上條憲也】イビチャ・オシム監督(65)が大噴火した。3日に行われるアジアカップ予選のサウジアラビア戦(日本時間4日午前2時30分開始)に向けて当地で調整中の日本代表は2日夜、5人対5人や10人対10人の実戦的メニューをこなした。しかしミス連発でカリカリしているところにMF伊野波雅彦(21)=FC東京=が右肩亜脱きゅう、さらにはスタッフの対応のまずさも重なって指揮官は激怒。妥協を許さない老将が“日本の甘え”を厳しく指摘した。

 90分の練習を終えてピッチの脇にのっそり戻ってきたオシム監督は、整然と並べられていた練習用具の三角コーンをボコッとけり上げ、両手を腰に当て首をかしげた。

 すると、オシム監督は右肩を負傷してスタッフの指示で更衣室に戻っていた伊野波と、スタッフ全員を自分の元へ呼びつけ、チームドクターからケガに関する事情聴取を開始。歯切れの悪い説明が、イライラに拍車を掛けた。

 「プレーできるのかできないのか、はっきりしろ!」。指揮官は顔を真っ赤にしてまくし立てる。スタッフは端的に問う指揮官に対し、ようやく「亜脱きゅうだが、初めてではないよう。プレーには差し支えない」と返答。しかし、もはや手遅れだった。指揮官は「それなら、最初からそう言え」と言わんばかりに、自らの右腕をグルグル回す。

 
負傷した伊野波への不満ではない。


ケガのたび選手を大げさに扱うスタッフの


“甘さ”を指摘したものだった。


とばっちりを受けた伊野波も「監督から? 


まぁいろいろと…」とバツが悪そうだった。


 大噴火には伏線もあった。前日、移動後の深夜練習。時差調整と、短時間での戦術理解度アップを狙ったものだが、思うように進まず、不満がたまる一方だ。大熊コーチは「(最後の10人対10人で)最初は点が入っていたのが、だんだん入らなくなってイライラしていたようだ」と明かした。

 この時、フリーマン役のGK川口(磐田)がミスを連発。指揮官は天を仰ぎ、初招集のMF二川(G大阪)に「パスを出したら動け!」と怒鳴り散らした。

 監督就任3戦目とはいえ、託された日本強化のためには一切の妥協は許さない。相手はW杯ドイツ大会にも出場したサウジアラビア。試合開始の午後8時半でも気温は30度以上が予想され、さらに紅海沿岸特有の猛烈な蒸し暑さが、体力面での大きな負担となる。強敵とのアウエー戦に、指揮官の神経は異常なほど張りつめている。

 ◆GK川口が“司令塔”

 GK川口能活(31)=磐田=のポジションは、なんとセンターサークルの中。フィールドプレーヤー10人対10人のゲーム形式練習で、両チームにとって11番目の選手として攻撃の起点になるフリーマンを務めた。つまり、攻撃側の前線にボールを配球する“司令塔”だ。

 「さすがに初めて。ゲームメーカーなんてやったことないですから。ミニゲームだったらだいたい自分は外に開いている」と苦笑いの川口だが、オシム流サッカーでは意味のある練習だ。

 サークル内でパスを受けた川口が、素早く動く周囲に足と手を使って的確な位置にボールを送る。川口を起点に「守」から「攻」へ切り替えるGKとの連動性が求められているのだ。「今までGKの練習はフィールドと別だったが、オシムさんは『GKは11人の1人』『遠くを見る視野を持て』と言う。攻守の切り替えの速さがキーポイント」と川口。

 “古井戸組”の守護神にとってサウジアラビア戦は2000年アジアカップレバノン大会の初戦以来。「中東で戦うサウジアラビアは本当に強い。でも(日本代表も)以前のチームとは違う」と川口は自信を口にした。



オシム監督のことだから、本当の怪我なら無理はさせないとは思うのですが、


「怪我も気合で治せ」くらいの

迫力には圧倒されっぱなし(苦笑)