勝って兜の緒をしめよ

cafebakerst2006-08-10

オシム不満初陣 勝っても苦言
2006年8月10日(木) 6時5分 スポーツニッポン


<日本・トリニダード・トバゴ>前半17分、三都主の先制ゴールに拳を握るオシム監督(左)


 10年W杯南アフリカ大会を目指すオシムジャパンが好スタートを切った。日本代表は9日、トリニダード・トバゴ代表と対戦し、MF三都主アレサンドロ(29=浦和)が2ゴールを挙げて、イビチャ・オシム監督(65)就任後初の親善試合を2―0の勝利で飾った。会心の勝利だったが、新指揮官は運動量が90分間続かなかったことを指摘。勝ってなお日本サッカーに対して苦言を呈した。

 歓喜にわく青一色のスタンドとはあまりにも対照的な光景だった。オシム監督は終了の笛を待たず「トイレに行く」との言葉を残し席を立った。そして初勝利の瞬間はベンチ裏で迎えた。控室での表情も勝利監督とはほど遠く、みけんのしわが消えることはなかった。

 「選手たちが走る力を持っている間は良い試合ができた。しかし、気がかりなのはサッカーは試合時間が90分ということ。きょう出場した中に90分走ることのできない選手がいた。(日本人は)1対1の点では不利。相手よりどれだけ多く走れるかで勝負しなければならない。きょう得た大事な教訓は走るということ。これが感想です」。2点を奪うまでは良かったが、徐々に足が止まった。後半は惨敗したW杯ドイツ大会を思わせた。その点を厳しく指摘した。

 静かに見守った。前半17分、三都主の第1号ゴールが決まった際には右手で小さくガッツポーズをつくったが、得点のたびに派手なジェスチャーで選手を鼓舞したジーコ前監督とは違った。ボールを奪われても取り返しにいかない選手には不服そうに手を広げたが、立ち上がったのは坪井が負傷した時だけだった。

 収穫もあった。「3日間でこれほどできるまでという水準までコンビネーションができた」。試合前まで明かさなかったシステムは4―4―2。先発も試合直前に控室のボードに名前を張るまで教えなかった。自分たちで考えて対応するよう意識づけされた選手は開始30分間は1人がボールを受ければ3人、4人が連動する攻撃で相手を混乱に陥れた。先発5人、途中出場4人が初出場というオシム色に富んだチームは新たな可能性を感じさせたのも確かだった。

 65歳の指揮官にとって日本代表が最後の挑戦だ。90年W杯イタリア大会では旧ユーゴスラビア代表を率いたが国内の紛争もあって退任し以後は代表とは無縁。代表監督を好きな日本で再び務めることに喜びも感じている。

 試合前には「日本は歴史が浅い。サッカーの神髄を見せよう」と静かな口調で語りかけた。その言葉に選手は魔法をかけられたようにひたすら走った。まだ世界と戦える走力はなかった。指揮官も「残念ながら私は魔法使いではない」とチームづくりには時間が必要なことを強調した。だが、この日、進むべき道は見えた。オシムジャパンはW杯に向けて走りだした。

 <トリニダード・トバゴ 強い日本に感謝>レイスベルヘン監督は「日本のような強いチームと試合ができて、貴重な経験ができた」と感謝した。前半は「日本の中盤の運動量と、速さについていくのが大変だった」と振り返った。W杯ドイツ大会のメンバーで、この遠征に参加したのは5人だけ。チームの世代交代を目指している指揮官は「若い選手を育て、力をつけていきたい」と課題を挙げた。

[ 8月10日 6時5分 更新 ]


想像以上に厳しいというか高い水準を要求しているという感じか(半数は交代する可能性すらあるような気がします)