オシム氏動く

オシム日本サプライズ布陣で始動

冷静な表情で練習試合を見つめるオシム監督(撮影・蔦林史峰)  イビチャ・オシム監督(65)率いる日本代表が6日、千葉県内で始動した。初日からの練習試合、多色ビブスを使った練習など、早くも独自の流儀を押し出した。選手たちに指示することはなかったが、対戦相手に細かい要求を出し、それに選手たちがどう対応するかを試す“策士”ぶりを発揮。メンバー選出で苦慮しながらも、ピッチでの指揮には揺るぎない自信を見せた。顔ぶれもすっかり変わった新生日本に「オシム・イズム」を吹き込む。

 頭でも汗をかけ−。それはまるで、難解な詰め将棋のようだった。オシム監督は練習試合の先発メンバーに4トップ布陣を命じた。「ここは軍隊じゃない。命令など出しません」と細かい指示は出さない。だがその裏で、対戦相手の平成国際大に、詳細なリクエストを出していた。「4−1−4−1で、引いて守ってほしい」。FW4人と相手守備陣9人が密集し、前線にはスペースがなくなった。

 名将の狙い通り、盤上は厳しい状況になった。前半1分に先制したが、その後は攻撃が手詰まり状態。では、どうするのか。頼みの指揮官は、ベンチに深く腰掛けたまま。だが試合前に、ヒントも与えていた。「窮地に陥っても、ピッチの外に頼るんじゃない。相手の出方を感じて、自分たちでフォーメーションを決めろ」。メッセージに気付き始めた攻撃陣は、動きに工夫を加えていく。4トップにこだわらず、中盤に引いたり、ポジションを入れ替えた。欲しかったスペースが、徐々に生まれ始めた。

 苦境は、自分で考えて打破しろ−。ハーフタイムでこそ「簡単なプレーを大切にしろ。急がず、焦らず、それでもボールを速く動かせ」と指示したが、基本は自主性。それが日本代表に対する、オシム監督の最初の提言だ。選手たちも、指揮官の思いは感じている。FW田中達は練習試合を「難しかった」と振り返る。「細かい戦術を、無言のままやれと要求されている気がした。頭の中で整理しないと、戦いに残っていけない」。

 初めて日本代表を指揮した船出の日。だが「初日で感想を持つようなら、大したチームではないということ」と満足そうに笑い「第一印象で判断すると誤ることが多いので時間をかけて考えていきたい」とも話した。走るだけではない。体も、頭でも汗をかかなければ脱落するだけ−。自主性とは、くしくもジーコ監督が理想とし、成し遂げ切れなかった課題だった。考えるオシムサッカーで、日本代表が今度こそ生まれ変わる。【塩畑大輔】

[2006年8月7日8時20分 紙面から]


対戦相手に指示を出し、あえて不利なフォーメーションを取らせるというのは今までの日本ではありえなかった練習方法ですね。


☆反町が大手術を施す!五輪代表DF陣のコンバートを敢行


秦皇島(中国)5日=後藤茂樹】反町マジック第1弾! 08年北京五輪を目指すU−21日本代表が、反町ジャパン初陣となる7日のU−21中国代表戦に向けDF陣のコンバートという大手術を施した。ボランチ(守備的MF)の伊野波雅彦(20)を3バックの中央に、本来その位置に入るDF増嶋竜也(21)=ともにFC東京=を左ストッパーに配転した。危機管理&新たな適性発掘だ。

戸惑う暇もない。秦皇島での初練習。反町監督に特別練習を指示されたのは増嶋、伊野波、青山直の3人だった。井原コーチらの指導の下、本職以外の位置を与えられ、3バックのコンビネーション構成に約30分間たっぷりシゴかれた。

「前のゲームの課題を修正するしかない。伊野波をコンバートしたのは後ろが頼りないのとボールが落ち着くから」

反町監督はいきなり敢行した大コンバートの理由を説明した。本来ボランチの伊野波が3バックの中央のリベロに。この年代の代表でこれまでリベロだった増嶋を左ストッパーへ。初陣となる7日の中国戦へ大手術を施した。

「今までやったことがない位置。分からない部分もあるけどやるだけ」と必死の増嶋。伊野波は「やって間もないのでバランスが取れない」と不安を口にした。2人がともに所属するFC東京でも試されたことがない陣形。新適性発掘と同時に故障者発生時などの有事に備えた危機管理にもつながる。

「DFの意識をチームで統一していく必要がある」とは現役時代“アジアの壁”と呼ばれた井原コーチ。自身もFWからのコンバートで、アジア最高のリベロに上り詰めた。指導者転身後の初仕事でそのノウハウを伝授する。「まだテスト段階だから。本番でどういう形かは分からない」と反町監督だが、初陣白星発進へ大胆に動きそうな気配だ。

★昼食で両国交流会
午前&午後の2部練習の間には、両国代表チームが一緒に昼食をとる交流会が開かれた。両国選手3人ずつが通訳を挟んで同じテーブルについた。中国側は17歳のGK王大雷らすでに2人がA代表入りを果たしている強敵。監督は、反町監督と同学年の元G大阪DFの賈秀全氏が務める。


おとといの試合は、今野をはじめ、U−23組もいない状況でベストメンバーが組めなかった。中盤が前線に「水を運べなかった」と一言で言ってしまえば、そういうことでしょうね。「水を運べなければ」ルーカス・馬場・石川(そして川口やササも)も生きてこないと客観的に分析してしまえばそれだけのことなんでしょうね。

「危機管理」というと大げさだけど、ルーカス、今野、伊野波がいない場合の対応策が不十分だったことは否定できないでしょうね。藤山や浅利選手ががんばったのはよかったとしても、現時点でのサブのメンバーだけでなんとかしなくてはならないわけですが、第三の「水の運び手」(文丈選手か宮沢選手、栗澤選手あるいはワシントン?)を決めて任せていくか、とにかく守備の強化を図るかしかないような気がします。

選手達を信頼していくしかないですね。