お隣さんの話ですが

☆川崎F 新切り札は“アマゾニアン”
 

アマゾン出身の異色助っ人がJ1デビューする。J1は19日に再開し、各地で9試合が行われる。首位・川崎Fはアウエーで鹿島と激突するが、W杯期間中にブラジルの名門サントスから加入したMFマギヌン(24)の初先発が決定的となった。アマゾン河口の街パラ州ベレンで奔放に育った新助っ人が、川崎Fの新たな切り札となる。

 首位を走る川崎Fの新たな切り札は“アマゾニアン”だった。6月に加入したマギヌンが鹿島戦でベールを脱ぐ。この日の練習ではFW我那覇ジュニーニョと先発組の3トップに入り、鋭いドリブルと好パスを連発。守備にも走り回り、左足から強烈なFKも蹴った。

 異色の経歴を持つ。アマゾン河口に位置し、ジャングルも広がるパラ州ベレンの出身。子供の頃はヤリを持ってジャングルを走り回り、ピラニアに襲われたこともある。「アマゾニアンだからね、魚を捕って食べていたんだよ」。そんなアマゾンだからこそ、たぐいまれなハングリー精神と、素直な性格も培われてきた。

 来日直後、日本の速いプレスに戸惑った。ボールを持ちすぎてはつぶされた。しかし、1度レクチャーされると周囲が驚くほど素直に聞き入れた。「アマゾンで生まれ育ってるから心が優しいよ。こんなに日本人の指示を聞くブラジル人は初めて。驚いた」と中村。サントスでは、元柏のクレーベルの話にも熱心に耳を傾けたという。

 ピッチでの実績は申し分ない。01年にアマゾンの強豪パイサンドゥでプロデビュー。03年には南米最強を決するリベルタドーレス杯にも出場した。04年にビトーリア、05年にサントスに移籍すると、所属したクラブすべてで優勝を経験し“請負人”となった。

 19日の鹿島戦を皮切りに浦和、G大阪と強豪3連戦が待つ。首位固めをもくろむ川崎Fでは「修羅場3」と命名し選手の気合をあおる。アウエー鹿島戦にはクラブ史上最多の8台もの応援バスが出動するなど期待は大きい。アマゾン出身の新助っ人が、好調なチームを加速させる。

 ◆マギヌン 1982年3月24日、ブラジル・パラ州ベレン出身の24歳。幼少期に空き地でサッカーを始め、01年にパイサンドゥ―ビトーリア―サントスを経て06年川崎F入り。FW、MFもこなすレフティー。尊敬する選手はリバウド。1メートル74、72キロ。
[ 2006年07月18日付 紙面記事 ]