オシム氏早くも日本代表構想
2006年7月3日(月) 8時0分 スポーツ報知

 日本代表監督への就任が固まったJ1千葉のイビチャ・オシム監督(65)が2日、千葉の合宿地の岐阜県飛騨市で会見し、日本代表再建構想の一端として日本人の特徴を生かしたメンバーを招集することを明かした。千葉の練習ではいすに座って動かず、指揮は息子のアマル・オシムコーチ(38)に完全に任せた。また、千葉の祖母井(うばがい)秀隆GM(54)は改めて協会への不信感を示した。

 オシム監督は、前日の3者会談後は無言を貫き、この日も「千葉と協会が言うまで僕に言うことはない」と、交渉に関しては口を濁した。しかし、日本代表の未来については骨格を明かした。

 まず「もし世界一になりたいのなら、ほかの監督を探してもらいたい」と軽いジャブを放ち、続けて「(日本には)補足できないものもある。例えば身長は伸ばせない。それは生まれ持ってきたもの。だから違う方向でステップを踏んでいこうというのが正しい。プレーの中で、すべての日本人の特長を生かせるようなメンバーを集めてやることが大切」と具体的方向を示した。

 日本人の特長とは何か。「3年半ジェフにいて、私はそういうことを言ってきただろう」と煙に巻いたが、千葉で成果をあげた「賢く走るサッカー」を基本に、俊敏さや勤勉さを最大限に生かすチームづくりを考えている様子だ。8月に初招集される「オシム・ジャパン」には、さぼることなく、しっかり働けるメンバーが多く名を連ねるに違いない。同監督に従えば、千葉がJリーグで起こしたような旋風を、日本が世界でも起こせるはずだ。

 もっとも、千葉の指導については、息子のアマル・コーチに完全にバトンタッチ。午前中の練習はベンチに座って眺めるだけ。午後も選手やスタッフとは逆サイドのベンチから1人で練習試合を“観戦”した。「キャンプに最後までいるのか? 私はすでに旅行者だ。宿泊費が続く限りはいるかもね」すでに、事実上は千葉の監督ではないことをジョークを交えながら認めた。

[ 7月3日 10時14分 更新 ]


オシム流、日本代表再生論を披露
2006年7月3日(月) 10時5分 日刊スポーツ


 日本は勘違いをしている! 現実を見つめることが大切! 日本代表監督就任が内定したJ1千葉のイビチャ・オシム監督(65)が、激辛の「日本代表再生論」を語った。3者会談から一夜明けた2日、キャンプ先の岐阜・飛騨市で監督就任合意後、初めて取材に応じ、日本代表の甘い現状を厳しく指摘した上で、日本人の特長を生かしたチームづくりを明言。理想を高く掲げてブラジル流を目指したジーコ前監督とは180度異なる。現実を直視した純日本流強化を強調した。
 まず最初に言っておきたい。日本が世界王者になりたいのなら、私ではなく別の監督を探すべきだ。日本代表が世界王者になれる保証などどこにもない。いいサッカーをする国は数多くある。すべての国が勝つために努力している。そういう現実を見つめることが大切だ。
 今の日本代表はできるサッカーと、やろうとしているサッカーにギャップがありすぎる。W杯1次リーグで敗退して、みんなガッカリしている。その気持ちは分かる。だが、日本はW杯に出場できただけで満足すべきだった。なぜなら他の国も着実に力をつけているからだ。今やアジアの中でも「この国には絶対に勝てる」といえる国は少なくなっている。世界のサッカーは発展しているのだ。
 確かに日本は経済や政治では世界トップレベルだろう。だが、だからといってサッカーが強くなるわけではない。そこを勘違いしている。生活水準の高さは、サッカーにはあまり関係はない。お金をつぎ込めばいいサッカーができるわけではない。日本より貧しい国でもいいサッカーができる国は多い。サッカーとはそれほど難しいものだ。
 今回のW杯ではオーストラリアに学ぶことが多かった。自分たちよりも強いチームがあるということを国民も知っている。「負けることもある」という心の準備を与えている。そういう考えをしている国は強い。
 よく「日本に何が足りないのか」と聞かれる。だが、あのブラジルだって足りないものがある。1人1人はいい選手なのに、今回だって負けただろう。ロナウドが太っていたと書くのは簡単だけど…。だから足りないものを探すより、日本人特有のもの、自分たちの道を探すことが重要だ。例えば身長や体格差など、生まれ持ったものは補えない。もっともサッカーは若くて背が高い選手をそろえたからといって、うまくいくとは限らない。日本人の精神的、肉体的な特長を生かせるようなメンバーを集めることが大切だ。もちろん1日で完成できるようなことではない。難しい仕事になる。
 代表監督になることで特別な気持ちはない。私の意思で代表監督になれるわけではない。日本サッカー協会が決めたことだ。何が決め手になったのかも、協会に聞いてほしい。私の年齢(65歳)のことを心配されるが、年齢を重ねることはハンディにはならない。ただ代表監督の仕事はすごく大変で、大きな責任が伴う。
 そもそも私は代表監督になるために日本に来たわけではない。ジェフにきて(仕事ぶりを)認められた。選手やクラブが認められたことは本当に素晴らしい。だから(代表監督就任要請は)私にとっても素晴らしいことだ。

[ 7月3日 10時5分 更新 ]