☆<サッカーW杯>マルタ戦へ練習 故障者多く戦術確認できず - 毎日新聞
2006年6月1日(15時32分)

 【ボン(ドイツ)小坂大】サッカーのワールドカップ(W杯)に向けて合宿中の日本代表は31日、当地のSSFボン競技場で2部練習を行った。故障者が多く、午後はW杯前の最終試合となるマルタ戦(4日、デュッセルドルフ)に向けた戦術の確認をする機会はなく、ミニゲームとシュート練習で切り上げた。

 先発組も合流した午後練習には、2−2で引き分けたドイツ戦(30日、レーバークーゼン)で右足首をねん挫した加地(ガ大阪)、右ひざ痛の高原(ハンブルガーSV)と柳沢(鹿島)、右足打撲の中村(セルティック)がホテルで休養した。左太もも裏の肉離れで帰国した田中(磐田)も含めて、23人のうち5人が欠けたことになる。

 高原ら3人は1日にも復帰する見通しだが、加地は数日間安静にしてW杯1次リーグ初戦となるオーストラリア戦(12日、カイザースラウテルン)に向け、リハビリに取り組む方針。チームは本大会までに戦術を熟成するとともに、選手たちのコンディション管理も求められることになった。

 ◇独追い込んだ代償…4人が練習離れる

 開催国ドイツと接戦を演じた代償は大きかった。この日は、先発した計4人が練習を離れた。限られた時間の中で、戦術を突き詰めたいジーコ監督にとっては、誤算だったと言える。

 なかでも、ジーコ監督が「退場でもおかしくない」と激高した、加地に対するシュバインシュタイガーバイエルン・ミュンヘン)の背後からのタックルは悪質だった。それ以外の場面でも、ドイツはサッカーの世界で「削る」と言われる反則スレスレのタックルを繰り返しており、ゲームメーカーとして厳しいマークを受けた中村の打撲もその影響だ。前半には、柳沢のユニホームは競り合いで大きく引き裂かれ、駒野(広島)も破かれた。

 日本が警告1枚だったのに対して、ドイツが4枚というのも親善試合としては異例の多さ。これでも、ホームの利で実際のプレーの危険度と比較すれば、少なかった印象だ。裏を返せば、それだけドイツが熱くなっていた。つまり日本が開催国を追い込んだと言える。

 ジーコ監督は次戦に向けて「けが人の状況次第だが、このまま行きたい」と、ドイツ戦と同様に3バックで、加地と駒野を入れ替えた先発布陣を望んでいる。チームが機能しているときは変更しないことが監督の原則だからだ。高原ら3人の症状は軽いとされているが、一度に5人も欠いた練習光景は、「敵地」でのW杯の激しさを今さらながら物語っている。【小坂大】