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cafebakerst2008-04-11

スペイン中を感動させた“偉大な”ヘタフェ
2008年4月11日(金) 19時49分 スポーツナビ

 10日に行われたUEFAカップ準々決勝、ヘタフェ対バイエルンの第2戦は、バイエルンが延長戦を含む2度のロスタイムで追いつき、3−3の引き分けに終わった。この結果、2試合合計4−4となり、アウエーゴールの差によってバイエルンが準決勝進出を決めた。

 試合開始早々の6分にヘタフェはデ・ラ・レッドが退場となり、114分間を1人少ない10人で戦った。しかし、守備を固めながらも攻撃的な姿勢は崩さず、カーンの守るバイエルンから3点をもぎ取り、歴史的な勝利を手にする寸前までいった。結果的に敗退となったが、この試合の様子を伝えた各ラジオ局に試合後は、素晴らしい試合とヘタフェの勇姿に感動した国内のサッカーファンから多くのメッセージが届いていた。『ラジオ・マルカ』の番組内では「私はクレ(バルセロナファン)だけれど、今日はヘタフェを死ぬ気で応援した。この敗戦に涙しているが君たちの頑張りには感動した」、「レアル・マドリーのファンだが、マドリー州の人間としてヘタフェを誇りに思う」といった他クラブのファンからのメッセージが紹介されていた。

 また、『カデナ・セル』の人気番組『エル・ラルゲロ』ではパーソナリティを務めるホセ・ラモン氏が以下の言葉で番組をスタートさせた。
「ヘタフェは今晩(10日)、サッカー界に歴史の1ページを刻んだ。(リスナーである)あなたはヘタフェのファンではないとしても、いつかきっと孫に4月10日の木曜日に起こった出来事を語り継ぐことになりだろう。あれだけ素晴らしいサッカーをしたヘタフェにとっては残酷な結果となったが、わ私を含めてスペイン中の人間がヘタフェを誇りに思っている」

『マルカ』紙は11日、一面トップに試合後うなだれるヘタフェの選手の写真を使いながら、「君たち(ヘタフェ)はわれわれの英雄だ」と大見出しをつけた。また、カシージャスとともに観戦に訪れていたレアル・マドリーのラウルは「スペインサッカー界はヘタフェを誇りに思うべきだ」と同紙にコメントを残している。『アス』紙も同じ写真を用いながら、小見出しで「10人で戦ったヘタフェの英雄たちは最後の最後でバイエルンの前に力尽きた」と表現した。

 試合後の会見でバイエルンヒッツフェルト監督は「ピッチ上ではヘタフェの方が上だった」と10人のヘタフェに内容で劣っていたことを素直に認め、「スペイン国王杯の決勝(バレンシア対ヘタフェ)で、バイエルンはヘタフェのファンになるだろう」と語っている。

 この敵将の発言からも分かる通り、ヘタフェは敗者となりながらも、国内外で多くのファンを感動させ、彼らの気持ちを勝ち取った。この試合を放送していたラジオ、テレビの実況から最も多く聞こえてきたのは「ケ・グランデ(なんて偉大な)」という感嘆の言葉。試合後、観戦したすべての人間から「誇りに思う」「ありがとう」の言葉をかけられるヘタフェは、勝利やタイトル以上に大切な何かを手にした。「結果がすべて」と言われる昨今のサッカー界だが、魂を揺さぶるヘタフェの戦いぶりはあまりに“偉大”だった。

  • Ichiro Ozawa from Spain-


[ 4月11日 19時49分 更新 ]



ムトゥがフィオレンティーナを4強へ
2008年4月10日(木)試合リポート 文: デレク・ブルックマン(PSVスタディオン)
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先制の鮮やかなFKを決めたムトゥ (Copyright Getty Images)
フォト・壁紙 »アドリアン・ムトゥが前半と後半に1点ずつ決めた素晴らしいゴールにより、ACFフィオレンティーナPSVアイントホーフェンのホームで、欧州の大会における通算50勝を記録し、UEFAカップの準決勝進出を決めた。


積極的なアプローチ
ホームでの第1戦を1-1の引き分けで終え、勝ち残るためにはゴールが必要だったフィオレンティーナは、攻撃的な4-3-3の布陣で試合に入る。この作戦はハーフタイム7分前に実を結び、ムトゥが誰にも止められないほど鮮やかなFKを直接ネットに突き刺し先制する。ルーマニア代表のムトゥは後半7分にも、今季のUEFAカップ6点目となるゴールを決め、PSVの反撃の望みを打ち砕いた。セフ・フェルホーセン監督率いるPSVは、80分にPKを得たものの、ティミー・シモンスのシュートはGKセバスティアン・フレイに止められ、失意の夜を締めくくった。


序盤は互いにチャンスを
5分にこの試合最初のシュートを放ったのはPSVだった。ダニー・クーフェルマンスがペナルティーエリア外から抑えた一撃で狙い、フレイはこれを片手でなんとかはじいた。フィオレンティーナもその直後に決定的なシーンを作ったが、ムトゥが深く入れたクロスにフリーで合わせたアレッサンドロ・ガンベリーニのヘディングは、ゴール脇に外れた。その10分後には、FWマリオ・アルベルト・サンタナもPKスポットの近くでシュートチャンスを得たが、これはPSVのGKエウレリョ・ゴメスが素早く阻止した。


サルシドがヒヤリ
アウエーのフィオレンティーナはピッチを支配し、とりわけムトゥが頻繁にボールに触れたが、最終局面のパスに精度を欠いていた。しかし25分過ぎには、オランダ王者のPSVがピンチを迎える。リカルド・モントリボが低く入れたクロスに対応したカルロス・サルシドが、危うく自陣ゴールへ入れそうになったが、ボールはわずかにクロスバーを越えた。その10分後には、PSVの19歳のDFスロボダン・ライコビッチがサンタナのシュートを見事にブロックした。


息を飲むようなムトゥのFK
そして38分、ついにビオラフィオレンティーナの愛称)が均衡を破る。ファビオ・リベラーニがFKを軽く転がすと、ムトゥがゴール前20メートルの位置からカーブをかけた素晴らしい一撃をGKゴメスの右上隅に決めた。このゴールに度肝を抜かれたPSVは、後半から、あまり目立たなかったオトマン・バッカルを下げてダンコ・ラゾビッチを投入し、同点を目指す。だが2点目が生まれたのは、反対側のゴールだった。


2点目もムトゥ
フリーで抜け出したジャンパオロ・パッツィーニのシュートは、ゴメスがうまくはじき出したものの、ボールはムトゥのもとへ。エリアのすぐ外でこれを拾ったムトゥは、冷静に左足で流し込んだ。これでPSVは、2得点が必要になった。だがその直後、逆にクラウディオ・プランデッリ監督率いるフィオレンティーナが3点目に近づいたが、モントリボの一撃はゴメスがポスト脇へと押し出した。数分後には、PSVのラゾビッチが至近距離からのチャンスを逃した一方で、GKゴメスは奇跡的にピンチを脱する。マルコ・ドナデルにループで裏を突かれたゴメスは、ボールを指先でクロスバーの上にはじくと、仰向けに倒れながら、ハットトリックを狙うムトゥが触る前にボールをキャッチした。


PKを阻止
だが残り10分、PSVにかすかな希望が生まれる。バラージュ・ジュジャークのクロスに反応したラゾビッチが、フィオレンティーナの主将トマシュ・ウイファルシにファウルを受けてPKを獲得。だがシモンスのキックはGKフレイに阻止され、PSVの哀しい夜は幕を閉じた。フィオレンティーナは次の準決勝で、47年前の第1回UEFAカップウィナーズカップ決勝で対戦したレンジャーズFCと相まみえる。序盤にイエローカードを受けたドナデルは、累積警告により4月24日のアイブロックスでの第1戦には出場停止となる。


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