「赤軍」については語られてる方もたくさんいらっしゃるので

ここでは触れませんw

ベトナム戦に向けて募る不安
U−22サッカー日本代表候補合宿
2007年11月08日

順大との練習試合で、安田は積極的な攻め上がりから多くのクロスを供給した【写真は共同 】
■得点を意識した練習

 不安の残る練習試合だった。6日から2日間にわたって行われた合宿の最終日となった7日、順天堂大学と対戦したU−22日本代表候補は、0−0と無得点のまま引き分けた。オシム監督以下、A代表のスタッフが見守った試合は、これまでの課題が解消されていないことを示す内容だった。

 反町監督の希望で急きょ行われた2日間の短期合宿。その狙いについて指揮官は「それは言えない」と濁したが、言葉にしなくとも明らかだろう。累積警告で17日のベトナム戦に出場できないFW森島康仁とMF家長昭博の代役探しと、五輪最終予選4試合でセットプレーからの3点しか取れていない攻撃の整備だ。

 その意思は、早速6日の練習メニューにも表れていた。コートの4分の1を使って行われた9対9のパスゲームは、2タッチ以下で6人のパスがつながれば1点、相手のゴールラインまで持ち込んだら2点という設定。ゴールラインまで行けば2点になっているのは、まずは相手のゴールを意識させることが狙いだ。6人パスがつながれば1点というのは、攻撃側にゴールがダメならパスをつないで再度攻撃を展開することを促し、守備側にとってはゴールを守るために後ろに引くのではなく、前からも守備に行くという意図が込められていた。

 次に行われたのはフィールドプレーヤー10人対8人(途中から井原コーチが参加して9人になった)での、引いた相手に対する攻撃(ディフェンス陣からすれば守備)の練習。11人のチームのフォーメーションは基本的に4−4−2で、選手は頻繁に入れ替わった。最後は、終盤に点が欲しい状況を想定して、平山相太らFW陣めがけてサイドからクロスを入れるパワープレーの練習。平山が競ったボールに、周りの選手が詰める形を確認した。


■安田、梅崎が積極的にアピール

 こうしたトレーニングを経て7日に行われたのが、順天堂大学との前後半にそれぞれロスタイム5分をとった練習試合。試合のメンバーは以下の通りだった。

<前半>
GK:西川周作
DF:内田篤人青山直晃水本裕貴安田理大
MF:伊野波雅彦平山相太(46分)、青山敏弘柏木陽介本田圭佑
FW:カレン・ロバート岡崎慎司(26分)、李忠成

<後半(25分まで)>
GK:山本海人
DF:内田、小林祐三河本裕之、本田圭
MF:伊野波、上田康太枝村匠馬梅崎司
FW:平山、岡崎→興梠慎三(16分)

<後半(25分以後)>
GK:山本
DF:伊野波、小林、河本、安田
MF:上田、枝村→平山(44分)、梅崎、本田
FW:カレン、興梠

 ベトナムが引いてくること、そして1トップ気味でくることを想定して、フォーメーションは4−4−2。順天堂大学は2トップだったが、この日のU−22日本代表候補はこれまでのようにスイーパーを置くのではなく、サイドバックや、ボランチに入った伊野波がカバーに入るゾーンディフェンスを採用していた。また、前後半の終わりにはそれぞれ約5分間のロスタイムが取ってあり、平山を投入してのパワープレーのシミュレーションを行った。

 1本目では安田の攻め上がりが目立った。前の本田圭を追い越して上がる動きは、これまでサイドバックを務めていた選手にはなかったものだ。ナビスコカップニューヒーロー賞とMVP受賞の勢いそのままに、本田圭のキープから、安田のオーバーラップというパターンから多くのクロスを供給した。
 しかし、サイドからクロスは入るものの、ほとんどが相手GKにキャッチされてしまい、なかなかシュートまでもっていけない。何度かダイレクトパスがつながるシーンもあったが、慣れない4−4−2のためか、アタッキングサード(ピッチを3分割したときの相手ゴール前1/3のエリア)での連動した崩しはほとんど見られず、無得点で終了した。

 大きくメンバーが代わった2本目は、梅崎の積極性が目立った。U−22日本代表に対して「仕掛けの部分が少ないと思っていた」という梅崎は、前でボールを受けたらドリブルで仕掛け、中に切り込んでシュートを放った。25分以降、右サイドに移ってもその姿勢は変わらず、果敢に勝負。シュートは決まらなかったが、持ち味を十分に発揮し、代表生き残りに向けてアピールした。


■改善されない得点力不足

 反町監督が「成果はありました。ただ課題もありましたし、足りない部分もありました。そういう意味では、この2日間は有意義だった」と評価したこの合宿。「出場停止の選手が何人かいる中で、個々の選手に役割を与えて、意図していることをプレーできているかどうかを見られたのは大きな成果」と語るなど、出場停止選手の代役探しという点では進展があったようだ。
 一方で、監督が課題として挙げた「アタッキングサードにおける最後のところでのスピード、パワー、精度」の問題は、依然として解消されていない。U−22代表の得点力不足は、このアタッキングサードに入ってからの崩しに連動性がないことが大きな原因。選手も「大きな動きが少ない。1人がアクションを起こして、そこから連動して崩すのが少ない」(梅崎)と問題を認識している。これは合宿の前から分かっていたことだが、「明日になったら解決できるものではない」(反町監督)と、問題解決への道のりはまだまだ遠い。

 とはいえ、これまで守備重視だったチームのベクトルが、得点を奪って勝たなければいけない状況に追い込まれ、攻撃に向いてきたことは確かだ。2トップへの変更は、クロスを上げたときに中に人がいない状況を改善する意図の表れだろう。その考え方の変更自体は評価できる。
アタッキングサードの前の段階では、いい崩し方もできていたので、それはそのままやっていきたい。ゴール前の精度は、ベトナムで集中的に取り組むことになる」と話した反町監督ベトナム戦までに予定されている残り4日間の練習で、少しでも攻撃の課題が改善されることを期待したい。

<了>

(編集部=渡邊浩司)

今まで、U−22の中心だった選手が徐々に下降ペースなのが
きいているような気がします。新戦力といってもJ1もJ2も
大詰めを迎えていますし、召集は難しいでしょうね