オシム監督、ガーナ戦を前に煙幕作戦 (日刊スポーツ)
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 設置済みスピーカーのわずかなスペースに体を入れ記者会見場に入るオシム監督

 日本代表イビチャ・オシム監督(65)が、4日のガーナ戦(日産ス)を前に煙幕作戦に出た。就任5戦目で初めて戦う世界レベルの相手に、選手への指示と公式会見での話が正反対。選手には中央から攻めることを要求し、会見ではサイド攻撃を仕掛けると明言した。最後の紅白戦の前では「マスコミが見てるから分かりやすく2色のビブスにしよう」と、わざわざ着替えさせて臨んだが、メンバーはばらばらと、最後まで煙幕を張った。
 わざとらしい。広い日産スタジアムでの前日練習中に、オシム監督が指示を出した。通訳の声が約100メートル離れたマスコミ席までかすかに聞こえてきた。「マスコミが多く来ているから(スタメンが)分かりやすく2色にしよう」。選手たちはそれまで付けていた5色のビブスを脱いで、紫とオレンジのビブスに着替えた。2チームに分かれたが、メンバーはばらばら。レギュラーと思われる4バックが紫で、中盤から前の主力組はオレンジ色に袖を通していた。

 公式会見では、サイド攻撃主体で攻めることを明言した。「サイド攻撃は世界のサッカーのトレンドだ。今のサッカーはスペースが少なく、中からだと突破できない。サイド攻撃は重要で、私に限らずどの監督も考えている」。中盤で行き詰まることが多く、サイドから活路を見いだすとの考えだが、選手には正反対の指示を出していた。

 オシム監督 横パスはなし。外にボールを散らすな。相手はボランチアッピアとエシアンが出てくるから中盤にスペースができる。中盤でしっかりブロックを作って、できるだけ手数をかけずに速く攻めよう。相手が戻る前にカウンターを仕掛けよう。

 最初の練習も速攻を15分以上繰り返した。MF遠藤は「昨日(2日)ビデオを見ながらカウンターのことを何度も言われた。日本人は速攻にあまり慣れてないけれど、羽生とか飛び出してくれるからできると思う」と話した。

 オシム監督が前日会見で、選手への指示と正反対のことを言うのは今まではなかった。練習中にマスコミを意識したような発言もしたことがない。GK川口は「結果を求めない人はいません。監督も勝ちたいと思っているはず。選手も当然そうですよ」。

 世界レベルの相手と対戦するのは、就任後初めて。負けて学ぶこともあるが、勝って自信が付くことも事実だ。初めての煙幕作戦。オシム監督の狙いは、試合で明かされる。【盧載鎭】




[ 2006年10月4日9時24分 ]