敵は我にあり!?

オシム緊急手術 右サイドに羽生
2006年9月6日(水) 6時3分 スポーツニッポン

 日本代表は6日、イエメン代表とサヌアでアジア杯予選を戦う。5日にアリムフシン競技場で行った公式練習でイビチャ・オシム監督(65)はサウジアラビア戦のスタメンから3人を入れ替える荒療治を敢行した。右サイドに愛弟子・MF羽生直剛(26)を起用するほか、攻撃的MFに初招集のMF二川孝広(26)を置く新布陣で勝ち点3を狙う。

 いきなり大ナタが振るわれた。公式練習の冒頭だった。オシム監督の指示でスタッフが先発組とみられるフィールドプレーヤー10人にピンク色のビブスを手渡した。だが、W杯メンバーの加地、3試合連続で出場した駒野、鈴木にもビブスは渡らなかった。

 代わりに入ったのは羽生、二川、長谷部のフレッシュな顔ぶれ。既に1敗を喫し、予選突破のためには絶対に負けられないイエメン戦。好機を逸し続けたサウジアラビア戦の教訓から指揮官はてこ入れの決断をした。

 公式会見でオシム監督は先発は決定ではないと前置きしながらも、先発を外れる3人を「がっかりしたのは確か」とバッサリ切り捨てた。そして「駒野、加地は守備面には問題なかったが、私が望んでいたのは危険な地域に進入するようなプレーだった」と指摘し、鈴木についても「彼は日本のマケレレ(W杯フランス代表MF)。ただ、マケレレよりも鈴木はボールを持って攻める時に力が発揮できるはず」とコメント。いずれも攻撃面で物足りなかったことを強調した。「闘莉王、坪井、阿部、加地、駒野をDFの基礎に置いていた」と話すように、これまで辛抱してきたが、ついに動いた。

 新たに抜てきされたのは攻撃力に富む3人だ。特に羽生は、オシム監督の千葉時代の教え子で、豊富な運動量を誇り、指揮官の目指すサッカーは体得済み。加地に代わって右サイドに入るが、8月のホームでのイエメン戦で途中出場し流れを変えた実績もあり、新布陣のキーマンとなる。日本代表では3試合目にして初先発となるが「自分が出た時にはリズム良く、テンポを上げることを考えたい。サイドにずっと張るつもりもない。動きながらやりたい」と、直線的なプレーだけでなく、相手を幻惑する自在な動きのイメージも出来上がっている。

 オシム監督は「(勝敗は)運によって左右される」とアウエーでの苦戦を否定しなかった。また、空気の薄い2300メートルの高地での試合について「地の利を生かそうとするならサヌアでやるのは当然」とし、凸凹のピッチについても「素早いプレーとダイレクトプレーが大事だと言ってきたが、通用しないかもしれない」と警戒感を強めた。

 ただ「答えはあす(6日)に出る」という表情は自信に満ちていた。運は自ら引き寄せるもので勝つために老将は動いた。

 ≪オシムに聞く≫

 ――高地と空気の薄さは影響するか?

 「何も変わったことは感じていません。やってみれば分かると思います。ボリビアやペルーは標高3000メートルでやっている。メキシコは2000メートルでやる。イエメンが地の利を生かそうとするのならば、ここサヌアでやることは自然だ。幸いにして、酸素は生きていくには十分あるようだ」

 ――練習で選手たちはクレバーにプレーしていたか?

 「選手たちのトレーニングには満足していません。でもクレバーでないとは言えない。毎日違う要素を入れて、こちらも試しているし、ついてくるのは容易ではない」

 ――鈴木、駒野、加地のプレーに不満がある?

 「ピッチ状態や相手を見て対応しなければいけない時もある。現在の日本には守備も攻撃もできるMFがいないというのが現状です。鈴木が悪い時には中村、羽生、山瀬、長谷部らを使うことは大いにある」

[ 9月6日 6時3分 更新 ]


いったん先発を外れると絶対的な「負け

犬」、先発を任されれば「勝ち組」という

図式で捉えられがちだけど、

オシム監督は確かに「結果」は厳しく求めているけど、ジーコの時みたいに「絶対的にメンバーを固定する」という考え方は取って無いと思うんだよね。報道する側そして受け止める側もそのへんはもっとやわらかく捉えたいところですよね。

最近の日本サッカー関係者はよくいえば「まじめ」悪く言えば「頭が固い」ということなんだろうが、サッカーはそれほど単純ではないということ・・・