松井持ち味発揮、フランス仕込みの個人技

後半、松井は相手DFをジャンプしてかわす(撮影・鹿野芳博)  【クラーゲンフルト(オーストリア)4日】日本代表MF松井大輔(26=ルマン)がいきなり持ち味を発揮した。3大陸トーナメントに参加する同代表は3日夜(日本時間4日未明)にオーストリア入りし、この日午前に初練習を行った。オシムジャパンに初招集された松井は、初日から積極的なドリブル突破を披露。フランス仕込みの個人技で、自分をアピールした。

 ピッチ中央周囲を見渡した松井が、敢然とドリブルを開始した。オーストリア初練習でいきなり行われた紅白戦。約30メートル前進し、ゴールライン際から鋭いクロスを上げた。得点にはつながらなかったが、コーチ陣からは「どんどん仕掛けていいぞ!」と声が飛んだ。真っ赤なスパイクから繰り出すドリブルで、細かいパスが生命線のオシム日本に新たな彩りを加えた。

 「フランスでやってるのと同じような感じでできたらいい。期待に応えたい」。約1年10カ月ぶりの代表でも、憶する所はない。オシム監督も松井の「個の力」を必要としている。象徴的だったのが、ピッチの半分を使った戦術練習だ。攻撃側は組み立てのパスを1タッチに制限されたが、ゴール前に近づけば選手のプレーは自由。アジア杯までは、ゴール付近ほどタッチ数を減らすルールで練習してきたのとは対照的だ。松井は武器であるドリブルを封印されず、むしろ見せ場を得た形だ。

 フランスで3年間個人技を磨いてきた自負がある。オシム体制での日本の試合は「結果しか知らない。あまり見たことがない」と言う。スタイルを変えてチームに合わせるより、自己主張で生き残る。3日夜に合流したドイツの空港では、移動用のスーツ姿の国内組とは違い、黒いニットにジーンズ姿。ピッチ外でも個性を発揮していた。

 今季ルマンでは、4−4−2か4−2−3−1の2列目左サイドを務める。この日の紅白戦は4−4−2の左で、役割はほぼ同じ。オシム監督は「フランスと代表で同じプレーができるとは限らない」と厳しく判断する考えだが、松井は「1対1の局面になったら仕掛けるのは当たり前。そういうところを出していけたらと思う」と強気だ。勝負を避ける消極的な横パスは松井の辞書にない。

 フランスのサッカー専門誌では「語学の壁があるから(ルマンの)主将にはなれないが、ピッチ上ではリーダーだ」と評価されるまでに成長した。わずか8日間とアピール期間は短いが、この調子で攻撃陣をけん引し、オシム監督を認めさせる。【北村泰彦】

[2007年9月5日8時50分 紙面から]


アンリ正式離婚、慰謝料は23億円
 
バルセロナのフランス代表FWティエリ・アンリ(30)が、元モデルのクレア・メリー夫人(27)と正式に離婚した。ロンドンの高等裁判所で行われた協議で成立したもので、4年間の結婚生活に終止符が打たれた。英国各紙によると、慰謝料はサッカー選手としては史上最高額の1000万ドル(約23億2000万円)。アンリの浮気が離婚の引き金と伝えられており、火遊びの代償は高く付いたようだ。

 まるで秒殺ゴールのように、離婚は即決された。ロンドンで行われた協議は、アンリ、クレア夫人とも欠席。弁護士同士による話し合いは、開廷からわずか76秒で終了した。

 裁判所から出された書面によると、離婚の理由は「アンリの理解しがたい行為」。これは同選手の不倫を意味する。夫人がアンリの携帯電話から、浮気メールを発見。2人の仲は急にギクシャクしだし、ケンカも絶えなかったという。食生活の節制などサッカーに対してはストイックで、「修行僧」の異名を持つが、女性関係は意外と大胆だったことが露呈した。

 思わぬ「カウンター攻撃」を食らったアンリは、攻守の切り替えが速かった。早々に別居を宣言。かつてダイアナ元英皇太子妃も担当した敏腕弁護士を雇い、戦術を練った。

 とはいえ、英国の離婚裁判は女性側が圧倒的に有利。英紙サンなどによると、アンリは慰謝料として1000万ポンド(約23億2000万円)前後の支払いを求められる。2500万ポンド(約58億円)の総資産の半分近くを取られる計算だ。2歳の愛娘ティーちゃんの親権は夫人が獲得。アンリにとって、失うものが大きすぎた。

 2人は自動車のCM共演をきっかけに交際を始め、03年に結婚した。撮影で使われたアンリの自宅はその後、2人の愛の巣になった。だが皮肉にも、アンリは現在、慰謝料ねん出のため自宅売却を余儀なくされている。

[2007年9月5日8時46分 紙面から]


「障害なし」ベンゲル監督続投へ

 アーセナルアーセン・ベンゲル監督(57)が続投を示唆した。地元メディアが4日伝えた。「契約延長へ障害はない。私が獲得した若い選手には責任がある。木曜か金曜に何かニュースがあるだろう」と話した。今季限りで契約が切れる同監督は4月に親密なクラブ幹部が退任。退団危機が報じられていたが、今季は若手の成長でリーグ2位と好調。「アンリ移籍で若手に責任感が出てきた」と手応えを口にした。
[ 2007年09月05日付 紙面記事 ]