アヤックス近況

アヤックスアトレティコを破るも選手層に難あり


 8月2日に開幕したアムステルダム・トーナメントで、アヤックスは2−0でアトレティコ・マドリーを破った。前半は相手に1本しかシュートを許さず、後半はきれいに2得点。「チームは進歩を遂げた」とテン・カーテもご満悦の快勝だった。

 アヤックスの先制点は後半開始直後の47分。この日左サイドバックを務めたコリンが、オープンスペースへ走り込んだエマヌエルソンへ巧みなスルーパスエマヌエルソンのクロスを、ファーサイドへ走りこんだガブリがヘッドで決めた。コリンのパスの前に見せたフンテラールの動き出しも含め、見事なゴールだった。
 2点目は60分。マドゥロのヒールパスを受けたスナイデルが、豪快なミドルシュートアトレティコゴールへ蹴り込んだ。

 8月14日のチャンピオンズリーグ予備3回戦を前に、上々の試合を見せたアヤックス。しかし不安点も露呈した。それは左サイドのアタッカー不足、控えの層の薄さだ。
 まず左サイド。昨季レギュラーのバベルがリバプールへ、そしてオールマイティープレーヤーのペレスもPSVへ移籍。さらにレオナルド、ミテアは負傷中で復帰のめどが立っていない。若いホーセンスはこれまでのところアピール材料に欠く。
 アヤックスアトレティコ戦で右FWに前半バキルチョグル、後半ロンメダールを起用。しかし左サイドはオープンスペースを残したまま戦った。このスペースをMFのエマヌエルソン、ストライカーのフンテラールが盛んに活用した。だからアヤックスの1点目は狙い通りだった。しかし戦術的な解決は、やがて相手にも戦術で対応される。やはりアヤックスにとって左サイドのアタッカーは緊急補強の必要なポジションだ。

 ストライカーのフンテラールは74分でお役御免。しかし代わりに出場したのがMFのドナルドで、その後15分間、アヤックスは前線でボールが収まらなかった。
 ロンメダールマドゥロを後半開始から使った後、アヤックスのベンチに座っていたのはほかにファン・デル・ウィール(DF)、アニータ(MF)、ホーセンス(FW)。まだレギュラーには遠く及ばない、ユース以上1軍未満の選手ばかりだった。開幕までに復帰しそうなのはウルサイスくらいか。
 アトレティコ戦では内容・結果共によかったアヤックスだったが、この選手層では長い1シーズンを果たして無事過ごせるか心配になる。

 アヤックスはすでに一度スアレスの獲得に失敗した。スアレスはバベル同様、左サイドも、ストライカーのポジションも果たせる。もしスアレスがいればアヤックスはいろいろなバリエーションが可能だった。左サイドに張らせてもいいし、中に絞らせてフンテラールと2トップ気味にし、左にオープンスペースを用意しておいてもいいし、フンテラールの交代後はスアレスの1トップでもよかった。
 こんな「たら・れば」の話をなぜここで書くかというと、いったん取り下げたKNVB(オランダサッカー協会)への調停をまたスアレスが申し入れた、とオランダで報道されているから。この調停は8月6日に予定されているらしい。これがアヤックスにとっていい結果になれば、チャンピオンズリーグ予備戦に向けて大きな明るい材料になるだろう。

  • Toru Nakata from Holland-

[ スポーツナビ 2007年8月3日 15:24 ]



グレイテストアヤックスゴールズ

首都圏ダービーをやるなら、アヤックスでしょうか(MLSもいいんだけど)